医療の話 Column
新潟医療生協の機関紙に毎月掲載し解りやすいと好評いただいている「医療の話」を再掲しました。
山田 絢子 内科医師
糖尿病予備軍や糖尿病の初期にみられる最初の異常は“食後高血糖”です。食後高血糖は「食後のみの一過性の過剰な血糖値の上昇」を意味します。そう!糖尿病の初期には“空腹時血糖”は上昇しないのです。正常時には食後の血糖値が140mg/dl以上になることはありません。食後高血糖を放置するとインスリン分泌のさらなる低下、全身細胞でのインスリン作用の低下が顕著となりさらなる食後高血糖、そして空腹時高血糖までもがみられるようになります。また、血糖値の急上昇が繰り返されると、細胞から大量の「活性酸素」が発生し、動脈硬化につながることも分かっています。
血糖値のピークは食後1~2時間後
“食後高血糖”を把握するためには、いつも通りの食事を摂って来院して頂き、食後1~2時間後を目安に血糖とともにHbA1c(採血時から過去1、2カ月間の平均血糖値を反映します)と尿糖を測定します。血糖値が150mg/dlであっても尿糖が陽性であれば前の排泄時から今までの間の血糖値が180mg/dlを超える時間があったことを示唆しています。このように得られた情報を巧みに考察して血糖の日内変動を推定することも可能になります。
食後高血糖を防ぐには
では、食後高血糖を防ぐにはどうすれば良いのか?重要なポイントは、ご飯やパンなどに多く含まれる糖質が体に吸収されるスピードを遅くして、血糖値の急上昇を抑えることです。
食べる順番は「野菜」→「肉・野菜」→「ご飯・パン」
食物繊維を多く含む野菜などを最初に食べると、食物繊維が腸の壁をコーティングし、糖の吸収をゆっくりにします。その結果、血糖値の上昇が緩やかになります。(とはいえ、糖質を沢山摂れば高血糖を招きます。量にも気を付けましょう。)
「朝ごはん」は欠かさずに
実験によると、1日3食を規則正しく食べている時には食後高血糖が生じなかった人でも、朝ごはんを抜くと、昼食後に食後高血糖が発生!朝食も昼食も抜くと、夕食後にさらに大きな食後高血糖が生じてしまうことが分かっています。これは糖尿病の人に限ったことではありません。忙しくても、なるべく3食食べることが、食後高血糖の予防となります。
食後の適度な運動
例えばウオーキングであれば、朝夕の2回、15~30分ずつ、1週間に3日以上続けることが望ましいですが、何もウオーキングだけが運動ではありません。ふき掃除、買い物袋を両手に持ってストレッチ運動、いすに座ったまま膝の曲げ伸ばしも意識して続けることで運動になります。日常生活の中にうまく組み入れてみましょう。
食後高血糖を認めたら早く治療介入
血糖コントロールの悪化は年月をかけて合併症を引き起こす原因になります。糖尿病を早期発見して早期治療介入することによって合併症は予防することができます。イギリスで行われた大規模調査により、「レガシー効果(遺産効果)」という早期治療の有用性が示されました。これは10年間厳格に血糖コントロールをした群は、緩やかな血糖管理をした群に比べて、その先10年後にも合併症(心筋梗塞や脳梗塞など)の発症頻度が有意に低いことが分かりました。血糖値の高い期間が長い程血管などにダメージを与えてしまいます。糖尿病は早くから治療を始めることが大変重要です。
質の高い血糖コントロールを目指す
食後高血糖をきちんと下げることが、質の高い血糖コントロールにつながります。1日の中で常に変化している血糖値を正確に知ることで、より適正な治療や血糖コントロールを実施することができます。
持続血糖モニター(CGM:Continuous Glucoe Monitoring)機器を使用すると、 血糖値の変動を継続的に測定・記録することができます。
鈴木 博 歯科医師
歯周病と糖尿病の関連性は、マスコミなどによって国民に広く認知されているところです。しかし、最近では都道府県の大規模調査によって糖尿病だけではなく、全身疾患と口腔環境の関連性が明らかになりつつあります。すでに調査が終わり、詳細な分析を行っている兵庫県では、長年にわたり高齢者の残存歯数と全身疾患との関連について大規模調査を行っています。調査は兵庫県での医科医療機関、歯科診療所をともに受診した2万7112名を対象に医科と歯科のカルテを突き合わせて詳細に分析したものです。その結果の一部をグラフに示します。
図は年齢を 70歳~ 74歳、 75歳~ 79歳および 80歳以上の3群に分類し、 19本以下の残存歯をもつ者、 20本以上の残存歯をもつ者で比較したものです。
今回取り上げた疾患は、循環器系の疾患として高血圧性疾患と脳梗塞、内分泌疾患としては糖尿病です。その他悪性新生物として胃癌と気管支・肺癌、呼吸器の疾患として慢性閉塞性肺疾患、神経系の障害として認知症とパーキンソン病および尿路系疾患として腎不全を取り上げています。
その結果、ほとんどの疾患で 19本以下の歯を有する者は 20本以上の歯を有する者と比較して罹患率が高くなっており、特に口腔内と密接な関係を持つと考えられる気管および肺癌と慢性閉塞性肺疾患は罹患率が大きく上回っていました。また、他の疾患でも歯の残存歯数が少ないと全身疾患を引き起こす率が高いことを示しています。
これらの結果から、歯の残存歯数は全身疾患罹患率に大きく関与し、高齢者の全身的な健康の維持には、いかに多くの歯を残すかが重要になってきます。そのためには、歯を失う原因である歯周病・ムシ歯等の早期発見・早期治療が肝心ですので、かかりつけ歯科医での定期健診を受けて、口腔の健康・全身の健康増進に努めましょう。
成田 淳一 内科医師
はじめに
皆さん、肺炎球菌ワクチンを知っていますか。俳優の加山雄三さんや西田敏行さんがテレビコマーシャルをしていますが、あれってなんだろうと思っている方も多いのではないでしょうか。今回は肺炎球菌ワクチンについて紹介いたします。
肺炎予防の重要性
肺炎は細菌などの病原体が原因で起こる肺の感染症で、皆さんよく耳にすることの多い有名な病気のひとつです。昔は年齢によらず肺炎で命を落とす方が多い時代もありましたが、近年は抗菌薬や治療法の進歩に伴い、以前のような状況はなくなりました。しかし年齢を重ねると免疫力が徐々に低下してきて、感染症にかかりやすくなります。現在でも肺炎は日本人の死因の第 3位であり、肺炎による死亡者の 96%以上が 65歳以上の高齢者です。超高齢者社会となった日本は今後も高齢化が進んでゆき、肺炎の死亡率はさらに高まってゆくと予想されています。
肺炎球菌は肺炎の起因菌の約3割と最も多く、重症化する可能性も高い菌ですので、ワクチンで予防する意義は高いと考えられています。ワクチンとは病原体の毒性を弱めたり、無毒化したものです。ワクチンを接種することで、実際に病気にかからなくても、病原体から体を守る免疫をつくることができます。
肺炎球菌顕微鏡写真
肺炎球菌ワクチンの現状
肺炎球菌は細胞壁の外側に莢膜をもっており、その莢膜の抗原性の違いで93種類が報告されています。肺炎球菌ワクチンはこの莢膜(きょうまく)をターゲットとしています。現在、23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPV23)と13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の2種類があります。それぞれ23種類、13種類の莢膜血清型に対するワクチンですが、我が国では肺炎球菌感染症の約70〜80%をカバーできることが確認されています。また、国内の高齢者を対象とした試験では肺炎球菌性肺炎の発症率を63.8%低下させたというデータもあります。
行政では2014年10月よりPPV23が65歳の高齢者を対象に定期接種化されました。すでに65歳を過ぎた方にも定期接種の機会を設けるため、2019年3月までの時限措置として、該当する年度に70、75、80、85、90、95、100歳の方も定期接種の対象とされています。該当年齢の方には1回のみ定期接種としての公費助成がされます。新潟市ではその年の該当者に8月中旬頃からハガキで案内がされています。該当する機会を逃さずに接種されることをお勧めいたします。
定期接種に該当しない方でも任意でワクチン接種を受けることも可能です。2種類のワクチンの接種時期をどのようにするかは、それぞれに特徴がありますので、医師とご相談下さい。
横山 恒 内科医師
ESDとは
ESDとは「内視鏡的粘膜下層剥離術:EndoscopicSubmucosal Dissection」の略語です。 消化管の壁は主に粘膜層、粘膜下層、筋層という3つの層からできています。がんは最も内側の粘膜層から発生するため、早期がんに対して、胃カメラや大腸カメラで消化管の内腔から粘膜層を含めた粘膜下層までを剥離し、病変を一括切除するという治療法がESDです。日本で開発された治療法で、胃では2006年、食道で2008年、大腸で2011年より、国が認めた保険治療として現在では標準的に行われております。
内視鏡治療には他にEMR(内視鏡的粘膜切除術:Endoscopic Mucosal Resection)という、スネアという金属の輪で切除する方法がありますが、一括切除できるサイズに限界があり、しばしば分割切除になるため、正確ながんの進行度の評価ができず、時に再発を招くことがあります。このEMRの弱点を克服した治療法がESDです。専用のナイフで粘膜を切開剥離する技術が研究され、大きな病変でも一括で切除することが可能となりました。
治療適応は?
◆食道 「粘膜固有層までに癌の浸潤が留まるもの」が絶対適応です。
◆胃 腫瘍の大きさ、組織型(分化型、未分化型)、深さ、潰瘍合併の有無により規定されます。 絶対適応病変は、「がんの深さが粘膜層に留まり、腫瘍径2cm以下、潰瘍を伴わない分化型癌」とされています。
ただし、適応拡大病変として次の状態のものがあります。 ① 2㎝を超えるが、潰瘍を伴わず深さが粘膜層に留まる分化型がん ② 3㎝以下の潰瘍を伴う、深さが粘膜層までの分化がん
◆大腸 「腫瘍の大きさが2~5㎝までの一括切除が可能な腺腫または早期癌(深さが粘膜下層1000μmまでに留まるがん)」とされています。
治療前にはがんの深さが正確に確認できないため、ESDの適応かどうかは内視鏡医の判断が必要です。最終的な診断は切除後の病理組織診断によって決定されます。そのため、治療前に適応病変と判断されていても、治療後に適応外と判明することもあり、その際は追加の外科手術が必要になります。これらの条件を基本とし、患者さんの状態(年齢や基礎疾患など)を総合的に判断して、治療の適応を決定します。
内視鏡治療
利点は?
外科手術は臓器を周囲のリンパ節と一緒に切除しますが、早期のがんの中で特に早期のものはリンパ節転移がほとんどないため、ESDを選択することで局所のみの切除となり、臓器をほぼ温存できます。そのため、患者さんへの体の負担が少なく済みます。
起こりうる合併症は?
起こりうる合併症としては、主に出血や穿孔です。治療後に起こる出血を後出血といいますが、緊急内視鏡による止血術が必要になります。また、穿孔とは消化管に穴があくことですが、この場合はクリップで穴を閉じます。多くは保存的に治癒しますが、穴が大きい時などは緊急手術が考慮されます。
最後に
当科でも食道癌、胃癌、大腸癌に対してESDを積極的に行っております。治療についてお聞きになりたいことがあれば、消化器内科担当医に御相談ください。
佐藤 信輔 皮膚科医師
爪白癬については2014年12月の機関紙本欄にてその内服治療について記載しました。その後外用剤も出てきましたので紹介いたします。
足の爪白癬に対する内服薬と外用剤での治癒率
足白癬(足の水虫)は足底の表面の角質層に白癬菌(かび)が感染したものです。足指の間に症状が出やすく、やがて足底全体に拡大し足の爪にも侵入します。爪の色は白くにごり、爪がもろく、肥厚します。80~90歳代では男性の30%~55%、女性の25~35%に足の爪白癬があります。足の爪白癬は従来の白癬の外用剤では軽快することはあっても治癒にいたることは困難でした。内服薬がでてから治癒するようになりました。内服薬は2種類あります。イトラコナゾールとテルビナフィンです。イトラコナゾールは1週間内服して3週間休薬することを3回繰り返します(合計3か月)。テルビナフィンは毎日1錠、6か月間内服し、どちらも治療を開始してから1年以上経過観察して有効であったか判定します。イトラコナゾールで1年後治癒率は約34%です。テルビナフィンの治癒率は約40%前後です。どちらの内服薬も肝障害・血液障害などの副作用があるため、治療初期には頻回に血液検査で副作用を点検します。その後は時々血液検査をしながら内服します。2014年12月に爪白癬の外用剤クレナフィンが発売されました。爪に1日1回、約1年間塗布します。さらに本年4月ルコナック爪外用剤が発売されました。治療方法はほぼ同じです。クレナフィンの治癒率は製薬会社のパンフレットでは15・2~17・8%、ルコナックの治癒率は製薬会社のパンフレットでは14・8%です。外用剤の治癒率は内服より劣るようです。
白癬菌の治癒と高齢者の場合
爪の伸びる速さは根元から指先に到達するまで手の爪では半年以上、足の爪では1年以上かかります。爪の伸びる速さは手の爪より足の爪の方が遅いのです。白癬菌で破壊された爪は治療しても元の正常な爪に戻りません。白癬菌が爪のさきから爪の根元に拡がってゆく速さと、爪が根元から先端に向かって伸びてゆく速さが治癒に関係してきます。(図1)治療で白癬菌の拡大の速度を遅くしておいて、その間に正常な爪が伸びてゆき、白癬菌は爪の先に追いやられてやがて爪切で切られてしまいます。正常な爪におきかわって治癒します。高齢者では足爪の伸びが遅く、また動脈硬化・糖尿病などにより血行が悪いなどのため内服薬の効果が悪くなります。効果がない場合は治療を中止することがあります。効果が無いのに数年間におよび高価な内服を継続された方もいました。爪白癬外用剤でも高齢者の爪の伸長がおそいため難治性であることが予想されます。
最後に
爪白癬では、顕微鏡検査で白癬菌陽性を確認してから治療を開始するのが原則です。爪白癬でないのに爪白癬の治療を長期間されて、治らない方も少なくありません。本日述べました爪外用剤も比較的高価な薬剤です。また新しい内服薬も開発中です。
爪白癬の治癒について(図1)
足の爪白癬(足爪の水虫)
①爪が根本から先端に向かって伸びていく早さ
②白癬菌が爪の先から爪の根元に広がっていく早さ
① ②のどちらが早いかが治癒に関係しています。
園田 香里 小児科医師
川崎病という病気をご存知でしょうか?日本の小児科医である川崎富作先生が発見したことから、「川崎病」という名前がつきました。四歳以下の乳幼児がかかりやすく、男の子にやや多くみられます。世界的にみても日本人の発症 頻度は高く、また近年患者数は増加傾向です。現在、国内で年間に一万五千人くらいの新規発症の患者さんがおり、決して稀な病気ではありません。
どんな病気なの?
一言で言うと、全身で「血管の炎症」が起きる病気です。原因はまだ特定されていません。一番心配なのは、心臓に酸素や栄養を送る血管にこぶ(冠動脈瘤)ができることや、こぶが詰まって心筋梗塞を起こしうることです。
炎症によって全身に様々な症状が現れます。 ①熱が五日以上続く。②目が赤くなる。③唇が赤くなる、舌がいちごのようにぶつぶつと赤くなる。④首のリンパ節が腫れる。⑤手足が赤くなったり腫れたりする(後から皮がむける)。⑥体にぶつぶつができる。
これらの症状のうち五つを満たすと川崎病と診断しますが、状況によって四つ以下でも川崎病と診断することもあります。診断基準には入っていませんが、ぐったりして不機嫌なことが多いです。他にも、BCG接種痕が赤く腫れたり、腹痛・黄疸・関節痛・痙攣がみられることもあります。
早期診断のポイントは?
川崎病は「冠動脈瘤ができる前に早く診断・治療を行って炎症をしずめる」ことが最も大事です。しかし、川崎病は、子どもがかかりやすい他の病気(主に風邪などの感染症)と似ている症状が多いことが、非常に厄介な点とも言えます。小児科医は、普段から「本当にかぜかな、川崎病ではないかな」と考えながら診察しています。その際、ご家族からの情報がとても重要です。 ・熱の変化(何時に何度出たという細かい数字は必要なく、大まかなパターンが大事) ・症状がいつから出てどのように続いているか
また、「いつもの風邪と何か違う(ぐったりする、不機嫌、食欲がない)」というご家族の勘も大事です。実際に、「熱が○日続いてぐったりしている、目と手が赤くなり発疹もでてきた」、などとご家族が丁寧に観察してメモし、受診時にお伝えいただいたことで、早く診断がついた方もたくさんいます。
どんな検査や治療をするの?
入院して、炎症を抑える治療を行います。飲み薬のアスピリン、免疫グロブリン点滴が一般的な治療です。これで患者さんの約九割はよくなります。血液検査や、超音波検査などで冠動脈瘤など心臓に異常がないかを確認します。症状が改善し、心臓に問題がなければ退院です。まれに退院後にも心臓の異常が起こることがあるため、外来でも定期的に検査を行います。
冠動脈瘤などの心後遺症は、診断・治療の進歩とともに減っており、現在では川崎病患者さんの約三%のみに認められます。 川崎病のことに限らず、病気や薬、成長・発達についてなど、ご質問があれば、普段の受診時などにいつでもお声をかけてください。
川崎病の症状
①熱が五日以上続く。 ②目が赤くなる。 ③唇が赤くなる、舌がいちごの ようにぶつぶつと赤くなる。 ④首のリンパ筋が腫れる。 ⑤手足が赤くなったり腫れた りする(後から皮がむける)。 ⑥体にぶつぶつができる。
これらの症状のうち五つを満たすと川崎病と診断しますが、状況によって四つ以下でも川崎病と診断することもあります。
川崎病の症状
所澤 徹 整形外科医師
整形外科の疾患の中で関節周囲の疾患で日常生活に影響のあるものの、手術の適応があまりない疾患である。
日常の診療の中では、腰痛、膝関節痛、骨折の次に多い疾患ではないでしょうか。
治療方法についても、はっきりと定義があるわけではなく経験則で治療が行われていました。
ところが、昨年の 7月、私がこの五十肩を発症してしまいました。初めは、肩の前方が痛くなり、時々、姿勢によって非常に強い痛みが出る程度でした。
まあとりあえず、肩体操を、(リハビリを)と体操を続けていましたが、いっこうに良くならず、痛み止め、鎮痛剤を飲むようになりました。
この状態で約 2ヶ月経過し、局所に圧痛点を認めるため、トリガーポイント注射という、局所麻酔注射をしましたが、効果が乏しく、逆に、効果が切れたときに痛みがひどくなると言うことを経験しました。
さて、次第に、手術に困るような痛みが出てくるようになり、次に、対応したのが、ステロイド入り局注、これも、効果があるのかないのか、 1週間ぐらいは激しい痛みからは解放されていましたが、効果の持続が今ひとつでした。
ステロイドの問題は、過量投与が出来ないこと、繰り返し使用すると副作用に見舞われます。このため、肩関節内に、局所麻酔薬を注入しました。これは、これである程度の鎮痛効果が得られました。(やはり五十肩は関節の炎症なのだという結論に達しました)
肩関節のステロイド注入。究極の選択枝を選ぶ必要が出てきました。ステロイド関注は整形外科医の間でも賛否の分かれるところがあり、使用する事をためらう一面もありましたが、夜間痛のため、施行せざるを得なくなりました。
ステロイド関注は劇的に有効な手段と感じてしまいましたが、余りにも痛かったためか、 2週間程度しか効果が持続しませんでした。
ここが最大の問題。もう一度ステロイドを使用するかどうか?1/2量のステロイドを再投与、夜間痛の改善で何とか過ごすことが出来ました。
しかし、また 2週間すると疼痛の増大、なかなか、我慢できない状態が続きました。
と言うことで、現在まだ非常に痛い五十肩の症状で診察をしております。
肩関節図
まとめとして、五十肩の自己診断、肩が痛くなったら肩関節が良く動くか両上肢で万歳してください。出来る様だったら、まだ軽症です毎日、万歳しながら肩が堅くならないことを確認してください、そして、帯を結ぶような姿勢もしてみてください。気がつかないうちに、動かせなくなっていることがあります。こうなるとリハビリが必要になります。早めに、整形外科を受診してください。
太刀川 仁 内科医師
昨年末に、文部科学省から日本食品標準成分表の改訂版が公表されました。耳慣れている方も多いかもしれません。食品成分表は日ごろ摂取する食品の栄養成分をまとめたもので、学校給食の献立づくりや健康管理のための栄養指導などに幅広く使われています。初版は一九五〇年で、今回は十五年ぶりの大幅改訂でした。干しひじきに含まれる鉄分が、製造に使われる釜の主流が鉄からステンレスに代わって九分の一に減っていることがニュースで取り上げられていました。
食生活の変化を反映してパンの種類が増えたり、製造法や調理法によって成分やカロリーが変わるものを加えて、前回2000年版よりも三〇〇品目も増えて2191品の成分が記載されています。
一例を見てみましょう
魚介類の 1ページ目、あじ類には「まあじ」「まるあじ」など 4種類のあじがありますが、「まあじ」ではさらに「尾つき」「開き干し」「水煮」「刺身」「フライ」などなどに分かれます。それぞれ加食部 100gあたりのカロリー、たんぱく質、脂質、炭水化物、鉄分など無機質、ビタミンとあって最後に食塩相当量が記載されています。
あじのお刺身 100g中水分が 75.6gを占めますが中性脂肪は 3.0g、コレステロールは 0.2gですが、あじのフライ 100gでは水分 52.3g、中性脂肪 17.0g、コレステロール 7.9gです。生のあじ 100g中の塩分相当量はわずか 0.3gですが、開き干しは生でも 1.7g、焼くとさらに濃縮して 2.0gと 70倍近くも塩分が増加します。あじやたらを原料にしたかまぼこの塩分相当量は 2.2~ 2.5gとさらに増加します。
肉類を見てみます。牛肉、豚肉、にわとり、うまやいのしし、くじらからすっぽんまであります。牛肩ロース肉の中性脂肪は 35.0g、豚のロースは 18.5gですがトンカツは 35.1gで同じです。塩分相当量はトンカツにしてもわずか 0.3gですので、これは調味料のソースの塩分の方が多くなります。中濃ソース小さじ 1杯 5mLでも 0.3g、ウスターソースなら 0.4gの塩分になります。カゴメソースではとんかつ 1食 100gについてソース 20gがおいしいとしていますので 0.9~ 1.2gの塩分ということになります。
このように眺めていると、ふだんなにげなく食べている食品が急に実体を伴ってくるように思います。
日本食品標準成分表
表のpdfはこちら
一例を見てみましょう
文部科学省のホームページからすべてダウンロードして見ることができますが、多くの出版社から色とりどりの食品成分表が販売されています。「実用ハンディ版…」「1個1尾1切れ1杯がひと目でわかる…」「はじめての…」「腎臓病の…」「塩分早わかり…」「コレステロール早わかり…」「会社別製品別市販加工食品…」などなど800円~1600円くらいで、それぞれ目的や用途に合わせてさまざまな品揃えです。
病院や医院の先生方に、ダイエットや塩分制限、コレステロールを減らしましょうと言われている方、ぜひいかがでしょうか。
菊池 真理子 産婦人科医師
今回は妊娠・出産時期よりもう少しお姉さま世代、閉経後の不正出血についてお話しします。
私、いつ閉経したの?
閉経の年齢は平均して50歳前後、45歳から56歳位と言われています。医学的には12カ月の無月経、つまり1年間月経がないときに閉経と定義づけられます。
40歳位の方が婦人科を受診し、「3か月間月経がないのですが閉経でしょうか?」と心配そうにお話しされることはめずらしくありません。このような場合は、妊娠の有無を確認したり血液検査などで今のご自身の状態を知ることが出来ます。「私は閉経したのかな?」ご自身での判断が難しい場合はぜひ婦人科で相談してみてください。
閉経しているはずなのに出血が…
表1に閉経後の不正出血(異常出血)を来す主な疾患を挙げてみました。よく見てみると婦人科が診断・治療に対応できるものばかりとは限りません。
不正出血の主な疾患
下着に血がついていた、用を足した後のトイレットペーパーに血がついた、便器に赤いものが落ちた…など症状に気付くきっかけは様々です。ご自身で出血したところを確認するのはなかなか難しいものです。こんな時は婦人科受診をお勧めします。診察後、たとえ婦人科の病気でなかったとしても適切な診療科への受診をご案内することができますし、ついでにがん検診もしたり、婦人科関連の最新情報もゲットできるかも…お得です。
やっぱり受けておきたい婦人科検診
閉経後出血は決してめずらしいことではありません。例えば、萎縮性膣炎は閉経により膣表面がもろくなったためにわずかな刺激で出血することですから、閉経後女性の誰もが1回あるいは複数回起こりうると考えられます。ちょっぴり出血するたびに「大きな病気かしら?」と心配していては毎日明るく過ごせないのではありませんか?
それならば症状のない方も1〜2年毎に婦人科検診を受けましょう。子宮頸がん検査は無症状の初期がんを見つけることが出来ます。初期がんはさらに進行して出血や腹痛などの症状が出るまでには数年かかります。子宮体がん検査は、地方自治体の定期検診から外れていますが、希望者や婦人科医が必要と判断した時に行っています。また検診時にはがん以外の子宮や卵巣・膣外陰部の異常についても診ています。検診で今のご自身の状態を知っておくことで不正出血についても過剰な心配をしなくて良くなることと思います。
最後に
まだまだ敷居が高いと言われますが、婦人科への受診をためらわないでくださいね。閉経後の人生は30年以上もあるのです。お体を大切に過ごしてゆきましょう。
阪田 郁 木戸病院健診センター医師
わたしたちの寿命は、より良い健康状態で伸びており、今後も伸びていくだろうと予測されます。日本では、国民皆保険制度による医療システムの整備、健診や新しい治療方法・ワクチンの開発などにより、平均寿命が伸びていると考えられます。
しかし、2010年における日本の平均寿命が男性で79.6歳、女性で86.4歳であるのに対し、日常生活に制限のない期間は、男性で70.4歳、女性で73.6歳と報告されました。つまり、日常生活に何かしら制限がある期間は、男性で9.2年、女性で12.8年に及ぶということです。今や健診の課題は、疾患の予防・早期発見に止まらず、この期間をいかに短縮していくかということになってきました。
寿命、特に健康寿命に寄与する因子
「あそこは長寿の家系だ」という様に、寿命には遺伝的なものももちろんありますが、その多くは環境因子が規定するといわれています。このため、健診の結果説明では、特定保健指導を含めて、疾患の予防、さらに健康寿命を延ばす目的で、生活習慣の指導がなされるわけです。総合判定が A・ B判定でも、改善が望ましい生活習慣について指導が入ることもあります。(下図 -参照)
よい生活習慣の実践を
体重は、手軽に計れる正確なバロメータ
同じものを食べても、太りやすい人と太りにくい人がいます。結局、食事が適量だったかどうかは人によって違います。そして、それは体重の変化を見ればわかります。食べる量はカロリーだけでなく、自分の体重で判断しましょう。さらに大切なのは食事の中身、栄養バランスです。脂肪や塩分の摂りすぎには注意が必要で、逆に、ビタミンやミネラル、食物繊維などの不足しやすい栄養素は意識して摂るようにしましょう。
定期的な身体活動も大切
立ち仕事や農作業など、肉体的につらい仕事をしていても、それは有酸素運動や筋力トレーニングとはまた別のものです。自分の生活スタイルに合った方法で、定期的な運動を取り入れていけるといいですね。
心の在り方
近年、人間ドックでも、メンタルヘルスの重要性が指摘されるようになり、国の政策として、改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度が導入されました。体と同様、心の状態とも向き合いつつ、心身ともに健全な生活を心がけましょう。
須永 隆夫 木戸クリニック所長 医師
新年に、1~2の病気を持っていても元気にお過ごしでしょうか。今回も漢方医学を一緒に考え、身近にしていただければと思います。木戸クリニックも漢方治療専門外来を八木と須永が担当しています。
当院における検診の現状
診療する医師の約90%が漢方薬を処方したことがありと答えるほどです。全国に80ある医学部全校で、6年間に8~10¬単位(90分1単位)の授業が始まり10年余となります。医師になって、ごく自然に漢方治療を取入れる時代です。若い先生方、関心のある先生方に、漢方医学の研修できる病院づくりの体制が全国に広がりつつあります。新潟県内はまだまだですが、木戸クリニックには、研修の先生が来てくれています。
漢方医学はどこの医学
漢方医学は東洋医学の中の一つで、日本で独特に発展しました。東洋医学の中には、東アジア、中国を中心とした医学、インドのアーユルベーダ、中近東のユナニ医学などがあります。中国に起こった医学が、韓国や日本に伝わり、韓国で韓医学に、日本では、江戸時時代に漢方医学が体系づけられました。西洋の医学が蘭方と呼ばれ、中国から入り、日本で独自に施行されていた医療(漢方薬も鍼灸も含む)を漢方と呼びました。現代の中国にある中医学と違うところです。現代の日本では、漢方医学と中医学の両方が行われています。
漢方は急性、慢性の両方に
慢性の病態には、勿論ですが、急性の病態にも広く利用されます。最近は、夜間外来は勿論、救急患者を診る急患センター等に常備しておくところが増えています。芍薬甘草湯、五苓散、大建中湯、麻黄湯、葛根湯、桂枝湯、柴苓湯、小柴胡湯加桔梗石膏、桔梗湯、麦門冬湯、越婢加朮湯、治打撲一方等々です。 5~ 10分で効果の出るものもあります。風邪なども、 10余の漢方薬を図(※図 1)のように、病態に合せて処方です。 15~ 20分で効果の出るものから、少し日数をかけての効果出現のものとあります。慢性疾患への適応は、種々の病態にお手伝いが可能です。西洋薬との併用もしながらです。
かぜに汎用される方剤
漢方薬の保険はずし?
昨年(2015年)の夏も厚労省、財務省の動きがありました。患者さんのご意見も集め、提出、何とか免れましたが、いつ再燃するかわかりません。その時は又、署名なりお願いします。広がっている漢方治療(なるべく漢方医学の診断で漢方薬を使う)に多くの先生も関心を持ち治療に活用しています。組合員の皆さんも漢方に親しんで下さい。
山田 絢子 内科医師
糖尿病予備軍や糖尿病の初期にみられる最初の異常は“食後高血糖”です。食後高血糖は「食後のみの一過性の過剰な血糖値の上昇」を意味します。そう!糖尿病の初期には“空腹時血糖”は上昇しないのです。正常時には食後の血糖値が140mg/dl以上になることはありません。食後高血糖を放置するとインスリン分泌のさらなる低下、全身細胞でのインスリン作用の低下が顕著となりさらなる食後高血糖、そして空腹時高血糖までもがみられるようになります。また、血糖値の急上昇が繰り返されると、細胞から大量の「活性酸素」が発生し、動脈硬化につながることも分かっています。
血糖値のピークは食後1~2時間後
“食後高血糖”を把握するためには、いつも通りの食事を摂って来院して頂き、食後1~2時間後を目安に血糖とともにHbA1c(採血時から過去1、2カ月間の平均血糖値を反映します)と尿糖を測定します。血糖値が150mg/dlであっても尿糖が陽性であれば前の排泄時から今までの間の血糖値が180mg/dlを超える時間があったことを示唆しています。このように得られた情報を巧みに考察して血糖の日内変動を推定することも可能になります。
食後高血糖を防ぐには
では、食後高血糖を防ぐにはどうすれば良いのか?重要なポイントは、ご飯やパンなどに多く含まれる糖質が体に吸収されるスピードを遅くして、血糖値の急上昇を抑えることです。
食べる順番は「野菜」→「肉・野菜」→「ご飯・パン」
食物繊維を多く含む野菜などを最初に食べると、食物繊維が腸の壁をコーティングし、糖の吸収をゆっくりにします。その結果、血糖値の上昇が緩やかになります。(とはいえ、糖質を沢山摂れば高血糖を招きます。量にも気を付けましょう。)
「朝ごはん」は欠かさずに
実験によると、1日3食を規則正しく食べている時には食後高血糖が生じなかった人でも、朝ごはんを抜くと、昼食後に食後高血糖が発生!朝食も昼食も抜くと、夕食後にさらに大きな食後高血糖が生じてしまうことが分かっています。これは糖尿病の人に限ったことではありません。忙しくても、なるべく3食食べることが、食後高血糖の予防となります。
食後の適度な運動
例えばウオーキングであれば、朝夕の2回、15~30分ずつ、1週間に3日以上続けることが望ましいですが、何もウオーキングだけが運動ではありません。ふき掃除、買い物袋を両手に持ってストレッチ運動、いすに座ったまま膝の曲げ伸ばしも意識して続けることで運動になります。日常生活の中にうまく組み入れてみましょう。
食後高血糖を認めたら早く治療介入
血糖コントロールの悪化は年月をかけて合併症を引き起こす原因になります。糖尿病を早期発見して早期治療介入することによって合併症は予防することができます。イギリスで行われた大規模調査により、「レガシー効果(遺産効果)」という早期治療の有用性が示されました。これは10年間厳格に血糖コントロールをした群は、緩やかな血糖管理をした群に比べて、その先10年後にも合併症(心筋梗塞や脳梗塞など)の発症頻度が有意に低いことが分かりました。血糖値の高い期間が長い程血管などにダメージを与えてしまいます。糖尿病は早くから治療を始めることが大変重要です。
質の高い血糖コントロールを目指す
食後高血糖をきちんと下げることが、質の高い血糖コントロールにつながります。1日の中で常に変化している血糖値を正確に知ることで、より適正な治療や血糖コントロールを実施することができます。
持続血糖モニター(CGM:Continuous Glucoe Monitoring)機器を使用すると、 血糖値の変動を継続的に測定・記録することができます。
鈴木 博 歯科医師
歯周病と糖尿病の関連性は、マスコミなどによって国民に広く認知されているところです。しかし、最近では都道府県の大規模調査によって糖尿病だけではなく、全身疾患と口腔環境の関連性が明らかになりつつあります。すでに調査が終わり、詳細な分析を行っている兵庫県では、長年にわたり高齢者の残存歯数と全身疾患との関連について大規模調査を行っています。調査は兵庫県での医科医療機関、歯科診療所をともに受診した2万7112名を対象に医科と歯科のカルテを突き合わせて詳細に分析したものです。その結果の一部をグラフに示します。
図は年齢を 70歳~ 74歳、 75歳~ 79歳および 80歳以上の3群に分類し、 19本以下の残存歯をもつ者、 20本以上の残存歯をもつ者で比較したものです。
今回取り上げた疾患は、循環器系の疾患として高血圧性疾患と脳梗塞、内分泌疾患としては糖尿病です。その他悪性新生物として胃癌と気管支・肺癌、呼吸器の疾患として慢性閉塞性肺疾患、神経系の障害として認知症とパーキンソン病および尿路系疾患として腎不全を取り上げています。
その結果、ほとんどの疾患で 19本以下の歯を有する者は 20本以上の歯を有する者と比較して罹患率が高くなっており、特に口腔内と密接な関係を持つと考えられる気管および肺癌と慢性閉塞性肺疾患は罹患率が大きく上回っていました。また、他の疾患でも歯の残存歯数が少ないと全身疾患を引き起こす率が高いことを示しています。
これらの結果から、歯の残存歯数は全身疾患罹患率に大きく関与し、高齢者の全身的な健康の維持には、いかに多くの歯を残すかが重要になってきます。そのためには、歯を失う原因である歯周病・ムシ歯等の早期発見・早期治療が肝心ですので、かかりつけ歯科医での定期健診を受けて、口腔の健康・全身の健康増進に努めましょう。
成田 淳一 内科医師
はじめに
皆さん、肺炎球菌ワクチンを知っていますか。俳優の加山雄三さんや西田敏行さんがテレビコマーシャルをしていますが、あれってなんだろうと思っている方も多いのではないでしょうか。今回は肺炎球菌ワクチンについて紹介いたします。
肺炎予防の重要性
肺炎は細菌などの病原体が原因で起こる肺の感染症で、皆さんよく耳にすることの多い有名な病気のひとつです。昔は年齢によらず肺炎で命を落とす方が多い時代もありましたが、近年は抗菌薬や治療法の進歩に伴い、以前のような状況はなくなりました。しかし年齢を重ねると免疫力が徐々に低下してきて、感染症にかかりやすくなります。現在でも肺炎は日本人の死因の第 3位であり、肺炎による死亡者の 96%以上が 65歳以上の高齢者です。超高齢者社会となった日本は今後も高齢化が進んでゆき、肺炎の死亡率はさらに高まってゆくと予想されています。
肺炎球菌は肺炎の起因菌の約3割と最も多く、重症化する可能性も高い菌ですので、ワクチンで予防する意義は高いと考えられています。ワクチンとは病原体の毒性を弱めたり、無毒化したものです。ワクチンを接種することで、実際に病気にかからなくても、病原体から体を守る免疫をつくることができます。
肺炎球菌顕微鏡写真
肺炎球菌ワクチンの現状
肺炎球菌は細胞壁の外側に莢膜をもっており、その莢膜の抗原性の違いで93種類が報告されています。肺炎球菌ワクチンはこの莢膜(きょうまく)をターゲットとしています。現在、23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPV23)と13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の2種類があります。それぞれ23種類、13種類の莢膜血清型に対するワクチンですが、我が国では肺炎球菌感染症の約70〜80%をカバーできることが確認されています。また、国内の高齢者を対象とした試験では肺炎球菌性肺炎の発症率を63.8%低下させたというデータもあります。
行政では2014年10月よりPPV23が65歳の高齢者を対象に定期接種化されました。すでに65歳を過ぎた方にも定期接種の機会を設けるため、2019年3月までの時限措置として、該当する年度に70、75、80、85、90、95、100歳の方も定期接種の対象とされています。該当年齢の方には1回のみ定期接種としての公費助成がされます。新潟市ではその年の該当者に8月中旬頃からハガキで案内がされています。該当する機会を逃さずに接種されることをお勧めいたします。
定期接種に該当しない方でも任意でワクチン接種を受けることも可能です。2種類のワクチンの接種時期をどのようにするかは、それぞれに特徴がありますので、医師とご相談下さい。
横山 恒 内科医師
ESDとは
ESDとは「内視鏡的粘膜下層剥離術:EndoscopicSubmucosal Dissection」の略語です。 消化管の壁は主に粘膜層、粘膜下層、筋層という3つの層からできています。がんは最も内側の粘膜層から発生するため、早期がんに対して、胃カメラや大腸カメラで消化管の内腔から粘膜層を含めた粘膜下層までを剥離し、病変を一括切除するという治療法がESDです。日本で開発された治療法で、胃では2006年、食道で2008年、大腸で2011年より、国が認めた保険治療として現在では標準的に行われております。
内視鏡治療には他にEMR(内視鏡的粘膜切除術:Endoscopic Mucosal Resection)という、スネアという金属の輪で切除する方法がありますが、一括切除できるサイズに限界があり、しばしば分割切除になるため、正確ながんの進行度の評価ができず、時に再発を招くことがあります。このEMRの弱点を克服した治療法がESDです。専用のナイフで粘膜を切開剥離する技術が研究され、大きな病変でも一括で切除することが可能となりました。
治療適応は?
◆食道 「粘膜固有層までに癌の浸潤が留まるもの」が絶対適応です。
◆胃 腫瘍の大きさ、組織型(分化型、未分化型)、深さ、潰瘍合併の有無により規定されます。 絶対適応病変は、「がんの深さが粘膜層に留まり、腫瘍径2cm以下、潰瘍を伴わない分化型癌」とされています。
ただし、適応拡大病変として次の状態のものがあります。 ① 2㎝を超えるが、潰瘍を伴わず深さが粘膜層に留まる分化型がん ② 3㎝以下の潰瘍を伴う、深さが粘膜層までの分化がん
◆大腸 「腫瘍の大きさが2~5㎝までの一括切除が可能な腺腫または早期癌(深さが粘膜下層1000μmまでに留まるがん)」とされています。
治療前にはがんの深さが正確に確認できないため、ESDの適応かどうかは内視鏡医の判断が必要です。最終的な診断は切除後の病理組織診断によって決定されます。そのため、治療前に適応病変と判断されていても、治療後に適応外と判明することもあり、その際は追加の外科手術が必要になります。これらの条件を基本とし、患者さんの状態(年齢や基礎疾患など)を総合的に判断して、治療の適応を決定します。
内視鏡治療
利点は?
外科手術は臓器を周囲のリンパ節と一緒に切除しますが、早期のがんの中で特に早期のものはリンパ節転移がほとんどないため、ESDを選択することで局所のみの切除となり、臓器をほぼ温存できます。そのため、患者さんへの体の負担が少なく済みます。
起こりうる合併症は?
起こりうる合併症としては、主に出血や穿孔です。治療後に起こる出血を後出血といいますが、緊急内視鏡による止血術が必要になります。また、穿孔とは消化管に穴があくことですが、この場合はクリップで穴を閉じます。多くは保存的に治癒しますが、穴が大きい時などは緊急手術が考慮されます。
最後に
当科でも食道癌、胃癌、大腸癌に対してESDを積極的に行っております。治療についてお聞きになりたいことがあれば、消化器内科担当医に御相談ください。
佐藤 信輔 皮膚科医師
爪白癬については2014年12月の機関紙本欄にてその内服治療について記載しました。その後外用剤も出てきましたので紹介いたします。
足の爪白癬に対する内服薬と外用剤での治癒率
足白癬(足の水虫)は足底の表面の角質層に白癬菌(かび)が感染したものです。足指の間に症状が出やすく、やがて足底全体に拡大し足の爪にも侵入します。爪の色は白くにごり、爪がもろく、肥厚します。80~90歳代では男性の30%~55%、女性の25~35%に足の爪白癬があります。足の爪白癬は従来の白癬の外用剤では軽快することはあっても治癒にいたることは困難でした。内服薬がでてから治癒するようになりました。内服薬は2種類あります。イトラコナゾールとテルビナフィンです。イトラコナゾールは1週間内服して3週間休薬することを3回繰り返します(合計3か月)。テルビナフィンは毎日1錠、6か月間内服し、どちらも治療を開始してから1年以上経過観察して有効であったか判定します。イトラコナゾールで1年後治癒率は約34%です。テルビナフィンの治癒率は約40%前後です。どちらの内服薬も肝障害・血液障害などの副作用があるため、治療初期には頻回に血液検査で副作用を点検します。その後は時々血液検査をしながら内服します。2014年12月に爪白癬の外用剤クレナフィンが発売されました。爪に1日1回、約1年間塗布します。さらに本年4月ルコナック爪外用剤が発売されました。治療方法はほぼ同じです。クレナフィンの治癒率は製薬会社のパンフレットでは15・2~17・8%、ルコナックの治癒率は製薬会社のパンフレットでは14・8%です。外用剤の治癒率は内服より劣るようです。
白癬菌の治癒と高齢者の場合
爪の伸びる速さは根元から指先に到達するまで手の爪では半年以上、足の爪では1年以上かかります。爪の伸びる速さは手の爪より足の爪の方が遅いのです。白癬菌で破壊された爪は治療しても元の正常な爪に戻りません。白癬菌が爪のさきから爪の根元に拡がってゆく速さと、爪が根元から先端に向かって伸びてゆく速さが治癒に関係してきます。(図1)治療で白癬菌の拡大の速度を遅くしておいて、その間に正常な爪が伸びてゆき、白癬菌は爪の先に追いやられてやがて爪切で切られてしまいます。正常な爪におきかわって治癒します。高齢者では足爪の伸びが遅く、また動脈硬化・糖尿病などにより血行が悪いなどのため内服薬の効果が悪くなります。効果がない場合は治療を中止することがあります。効果が無いのに数年間におよび高価な内服を継続された方もいました。爪白癬外用剤でも高齢者の爪の伸長がおそいため難治性であることが予想されます。
最後に
爪白癬では、顕微鏡検査で白癬菌陽性を確認してから治療を開始するのが原則です。爪白癬でないのに爪白癬の治療を長期間されて、治らない方も少なくありません。本日述べました爪外用剤も比較的高価な薬剤です。また新しい内服薬も開発中です。
爪白癬の治癒について(図1)
足の爪白癬(足爪の水虫)
①爪が根本から先端に向かって伸びていく早さ
②白癬菌が爪の先から爪の根元に広がっていく早さ
① ②のどちらが早いかが治癒に関係しています。
園田 香里 小児科医師
川崎病という病気をご存知でしょうか?日本の小児科医である川崎富作先生が発見したことから、「川崎病」という名前がつきました。四歳以下の乳幼児がかかりやすく、男の子にやや多くみられます。世界的にみても日本人の発症 頻度は高く、また近年患者数は増加傾向です。現在、国内で年間に一万五千人くらいの新規発症の患者さんがおり、決して稀な病気ではありません。
どんな病気なの?
一言で言うと、全身で「血管の炎症」が起きる病気です。原因はまだ特定されていません。一番心配なのは、心臓に酸素や栄養を送る血管にこぶ(冠動脈瘤)ができることや、こぶが詰まって心筋梗塞を起こしうることです。
炎症によって全身に様々な症状が現れます。 ①熱が五日以上続く。②目が赤くなる。③唇が赤くなる、舌がいちごのようにぶつぶつと赤くなる。④首のリンパ節が腫れる。⑤手足が赤くなったり腫れたりする(後から皮がむける)。⑥体にぶつぶつができる。
これらの症状のうち五つを満たすと川崎病と診断しますが、状況によって四つ以下でも川崎病と診断することもあります。診断基準には入っていませんが、ぐったりして不機嫌なことが多いです。他にも、BCG接種痕が赤く腫れたり、腹痛・黄疸・関節痛・痙攣がみられることもあります。
早期診断のポイントは?
川崎病は「冠動脈瘤ができる前に早く診断・治療を行って炎症をしずめる」ことが最も大事です。しかし、川崎病は、子どもがかかりやすい他の病気(主に風邪などの感染症)と似ている症状が多いことが、非常に厄介な点とも言えます。小児科医は、普段から「本当にかぜかな、川崎病ではないかな」と考えながら診察しています。その際、ご家族からの情報がとても重要です。 ・熱の変化(何時に何度出たという細かい数字は必要なく、大まかなパターンが大事) ・症状がいつから出てどのように続いているか
また、「いつもの風邪と何か違う(ぐったりする、不機嫌、食欲がない)」というご家族の勘も大事です。実際に、「熱が○日続いてぐったりしている、目と手が赤くなり発疹もでてきた」、などとご家族が丁寧に観察してメモし、受診時にお伝えいただいたことで、早く診断がついた方もたくさんいます。
どんな検査や治療をするの?
入院して、炎症を抑える治療を行います。飲み薬のアスピリン、免疫グロブリン点滴が一般的な治療です。これで患者さんの約九割はよくなります。血液検査や、超音波検査などで冠動脈瘤など心臓に異常がないかを確認します。症状が改善し、心臓に問題がなければ退院です。まれに退院後にも心臓の異常が起こることがあるため、外来でも定期的に検査を行います。
冠動脈瘤などの心後遺症は、診断・治療の進歩とともに減っており、現在では川崎病患者さんの約三%のみに認められます。 川崎病のことに限らず、病気や薬、成長・発達についてなど、ご質問があれば、普段の受診時などにいつでもお声をかけてください。
川崎病の症状
①熱が五日以上続く。 ②目が赤くなる。 ③唇が赤くなる、舌がいちごの ようにぶつぶつと赤くなる。 ④首のリンパ筋が腫れる。 ⑤手足が赤くなったり腫れた りする(後から皮がむける)。 ⑥体にぶつぶつができる。
これらの症状のうち五つを満たすと川崎病と診断しますが、状況によって四つ以下でも川崎病と診断することもあります。
川崎病の症状
所澤 徹 整形外科医師
整形外科の疾患の中で関節周囲の疾患で日常生活に影響のあるものの、手術の適応があまりない疾患である。
日常の診療の中では、腰痛、膝関節痛、骨折の次に多い疾患ではないでしょうか。
治療方法についても、はっきりと定義があるわけではなく経験則で治療が行われていました。
ところが、昨年の 7月、私がこの五十肩を発症してしまいました。初めは、肩の前方が痛くなり、時々、姿勢によって非常に強い痛みが出る程度でした。
まあとりあえず、肩体操を、(リハビリを)と体操を続けていましたが、いっこうに良くならず、痛み止め、鎮痛剤を飲むようになりました。
この状態で約 2ヶ月経過し、局所に圧痛点を認めるため、トリガーポイント注射という、局所麻酔注射をしましたが、効果が乏しく、逆に、効果が切れたときに痛みがひどくなると言うことを経験しました。
さて、次第に、手術に困るような痛みが出てくるようになり、次に、対応したのが、ステロイド入り局注、これも、効果があるのかないのか、 1週間ぐらいは激しい痛みからは解放されていましたが、効果の持続が今ひとつでした。
ステロイドの問題は、過量投与が出来ないこと、繰り返し使用すると副作用に見舞われます。このため、肩関節内に、局所麻酔薬を注入しました。これは、これである程度の鎮痛効果が得られました。(やはり五十肩は関節の炎症なのだという結論に達しました)
肩関節のステロイド注入。究極の選択枝を選ぶ必要が出てきました。ステロイド関注は整形外科医の間でも賛否の分かれるところがあり、使用する事をためらう一面もありましたが、夜間痛のため、施行せざるを得なくなりました。
ステロイド関注は劇的に有効な手段と感じてしまいましたが、余りにも痛かったためか、 2週間程度しか効果が持続しませんでした。
ここが最大の問題。もう一度ステロイドを使用するかどうか?1/2量のステロイドを再投与、夜間痛の改善で何とか過ごすことが出来ました。
しかし、また 2週間すると疼痛の増大、なかなか、我慢できない状態が続きました。
と言うことで、現在まだ非常に痛い五十肩の症状で診察をしております。
肩関節図
まとめとして、五十肩の自己診断、肩が痛くなったら肩関節が良く動くか両上肢で万歳してください。出来る様だったら、まだ軽症です毎日、万歳しながら肩が堅くならないことを確認してください、そして、帯を結ぶような姿勢もしてみてください。気がつかないうちに、動かせなくなっていることがあります。こうなるとリハビリが必要になります。早めに、整形外科を受診してください。
太刀川 仁 内科医師
昨年末に、文部科学省から日本食品標準成分表の改訂版が公表されました。耳慣れている方も多いかもしれません。食品成分表は日ごろ摂取する食品の栄養成分をまとめたもので、学校給食の献立づくりや健康管理のための栄養指導などに幅広く使われています。初版は一九五〇年で、今回は十五年ぶりの大幅改訂でした。干しひじきに含まれる鉄分が、製造に使われる釜の主流が鉄からステンレスに代わって九分の一に減っていることがニュースで取り上げられていました。
食生活の変化を反映してパンの種類が増えたり、製造法や調理法によって成分やカロリーが変わるものを加えて、前回2000年版よりも三〇〇品目も増えて2191品の成分が記載されています。
一例を見てみましょう
魚介類の 1ページ目、あじ類には「まあじ」「まるあじ」など 4種類のあじがありますが、「まあじ」ではさらに「尾つき」「開き干し」「水煮」「刺身」「フライ」などなどに分かれます。それぞれ加食部 100gあたりのカロリー、たんぱく質、脂質、炭水化物、鉄分など無機質、ビタミンとあって最後に食塩相当量が記載されています。
あじのお刺身 100g中水分が 75.6gを占めますが中性脂肪は 3.0g、コレステロールは 0.2gですが、あじのフライ 100gでは水分 52.3g、中性脂肪 17.0g、コレステロール 7.9gです。生のあじ 100g中の塩分相当量はわずか 0.3gですが、開き干しは生でも 1.7g、焼くとさらに濃縮して 2.0gと 70倍近くも塩分が増加します。あじやたらを原料にしたかまぼこの塩分相当量は 2.2~ 2.5gとさらに増加します。
肉類を見てみます。牛肉、豚肉、にわとり、うまやいのしし、くじらからすっぽんまであります。牛肩ロース肉の中性脂肪は 35.0g、豚のロースは 18.5gですがトンカツは 35.1gで同じです。塩分相当量はトンカツにしてもわずか 0.3gですので、これは調味料のソースの塩分の方が多くなります。中濃ソース小さじ 1杯 5mLでも 0.3g、ウスターソースなら 0.4gの塩分になります。カゴメソースではとんかつ 1食 100gについてソース 20gがおいしいとしていますので 0.9~ 1.2gの塩分ということになります。
このように眺めていると、ふだんなにげなく食べている食品が急に実体を伴ってくるように思います。
日本食品標準成分表
表のpdfはこちら
一例を見てみましょう
文部科学省のホームページからすべてダウンロードして見ることができますが、多くの出版社から色とりどりの食品成分表が販売されています。「実用ハンディ版…」「1個1尾1切れ1杯がひと目でわかる…」「はじめての…」「腎臓病の…」「塩分早わかり…」「コレステロール早わかり…」「会社別製品別市販加工食品…」などなど800円~1600円くらいで、それぞれ目的や用途に合わせてさまざまな品揃えです。
病院や医院の先生方に、ダイエットや塩分制限、コレステロールを減らしましょうと言われている方、ぜひいかがでしょうか。
菊池 真理子 産婦人科医師
今回は妊娠・出産時期よりもう少しお姉さま世代、閉経後の不正出血についてお話しします。
私、いつ閉経したの?
閉経の年齢は平均して50歳前後、45歳から56歳位と言われています。医学的には12カ月の無月経、つまり1年間月経がないときに閉経と定義づけられます。
40歳位の方が婦人科を受診し、「3か月間月経がないのですが閉経でしょうか?」と心配そうにお話しされることはめずらしくありません。このような場合は、妊娠の有無を確認したり血液検査などで今のご自身の状態を知ることが出来ます。「私は閉経したのかな?」ご自身での判断が難しい場合はぜひ婦人科で相談してみてください。
閉経しているはずなのに出血が…
表1に閉経後の不正出血(異常出血)を来す主な疾患を挙げてみました。よく見てみると婦人科が診断・治療に対応できるものばかりとは限りません。
不正出血の主な疾患
下着に血がついていた、用を足した後のトイレットペーパーに血がついた、便器に赤いものが落ちた…など症状に気付くきっかけは様々です。ご自身で出血したところを確認するのはなかなか難しいものです。こんな時は婦人科受診をお勧めします。診察後、たとえ婦人科の病気でなかったとしても適切な診療科への受診をご案内することができますし、ついでにがん検診もしたり、婦人科関連の最新情報もゲットできるかも…お得です。
やっぱり受けておきたい婦人科検診
閉経後出血は決してめずらしいことではありません。例えば、萎縮性膣炎は閉経により膣表面がもろくなったためにわずかな刺激で出血することですから、閉経後女性の誰もが1回あるいは複数回起こりうると考えられます。ちょっぴり出血するたびに「大きな病気かしら?」と心配していては毎日明るく過ごせないのではありませんか?
それならば症状のない方も1〜2年毎に婦人科検診を受けましょう。子宮頸がん検査は無症状の初期がんを見つけることが出来ます。初期がんはさらに進行して出血や腹痛などの症状が出るまでには数年かかります。子宮体がん検査は、地方自治体の定期検診から外れていますが、希望者や婦人科医が必要と判断した時に行っています。また検診時にはがん以外の子宮や卵巣・膣外陰部の異常についても診ています。検診で今のご自身の状態を知っておくことで不正出血についても過剰な心配をしなくて良くなることと思います。
最後に
まだまだ敷居が高いと言われますが、婦人科への受診をためらわないでくださいね。閉経後の人生は30年以上もあるのです。お体を大切に過ごしてゆきましょう。
阪田 郁 木戸病院健診センター医師
わたしたちの寿命は、より良い健康状態で伸びており、今後も伸びていくだろうと予測されます。日本では、国民皆保険制度による医療システムの整備、健診や新しい治療方法・ワクチンの開発などにより、平均寿命が伸びていると考えられます。
しかし、2010年における日本の平均寿命が男性で79.6歳、女性で86.4歳であるのに対し、日常生活に制限のない期間は、男性で70.4歳、女性で73.6歳と報告されました。つまり、日常生活に何かしら制限がある期間は、男性で9.2年、女性で12.8年に及ぶということです。今や健診の課題は、疾患の予防・早期発見に止まらず、この期間をいかに短縮していくかということになってきました。
寿命、特に健康寿命に寄与する因子
「あそこは長寿の家系だ」という様に、寿命には遺伝的なものももちろんありますが、その多くは環境因子が規定するといわれています。このため、健診の結果説明では、特定保健指導を含めて、疾患の予防、さらに健康寿命を延ばす目的で、生活習慣の指導がなされるわけです。総合判定が A・ B判定でも、改善が望ましい生活習慣について指導が入ることもあります。(下図 -参照)
よい生活習慣の実践を
体重は、手軽に計れる正確なバロメータ
同じものを食べても、太りやすい人と太りにくい人がいます。結局、食事が適量だったかどうかは人によって違います。そして、それは体重の変化を見ればわかります。食べる量はカロリーだけでなく、自分の体重で判断しましょう。さらに大切なのは食事の中身、栄養バランスです。脂肪や塩分の摂りすぎには注意が必要で、逆に、ビタミンやミネラル、食物繊維などの不足しやすい栄養素は意識して摂るようにしましょう。
定期的な身体活動も大切
立ち仕事や農作業など、肉体的につらい仕事をしていても、それは有酸素運動や筋力トレーニングとはまた別のものです。自分の生活スタイルに合った方法で、定期的な運動を取り入れていけるといいですね。
心の在り方
近年、人間ドックでも、メンタルヘルスの重要性が指摘されるようになり、国の政策として、改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度が導入されました。体と同様、心の状態とも向き合いつつ、心身ともに健全な生活を心がけましょう。
須永 隆夫 木戸クリニック所長 医師
新年に、1~2の病気を持っていても元気にお過ごしでしょうか。今回も漢方医学を一緒に考え、身近にしていただければと思います。木戸クリニックも漢方治療専門外来を八木と須永が担当しています。
当院における検診の現状
診療する医師の約90%が漢方薬を処方したことがありと答えるほどです。全国に80ある医学部全校で、6年間に8~10¬単位(90分1単位)の授業が始まり10年余となります。医師になって、ごく自然に漢方治療を取入れる時代です。若い先生方、関心のある先生方に、漢方医学の研修できる病院づくりの体制が全国に広がりつつあります。新潟県内はまだまだですが、木戸クリニックには、研修の先生が来てくれています。
漢方医学はどこの医学
漢方医学は東洋医学の中の一つで、日本で独特に発展しました。東洋医学の中には、東アジア、中国を中心とした医学、インドのアーユルベーダ、中近東のユナニ医学などがあります。中国に起こった医学が、韓国や日本に伝わり、韓国で韓医学に、日本では、江戸時時代に漢方医学が体系づけられました。西洋の医学が蘭方と呼ばれ、中国から入り、日本で独自に施行されていた医療(漢方薬も鍼灸も含む)を漢方と呼びました。現代の中国にある中医学と違うところです。現代の日本では、漢方医学と中医学の両方が行われています。
漢方は急性、慢性の両方に
慢性の病態には、勿論ですが、急性の病態にも広く利用されます。最近は、夜間外来は勿論、救急患者を診る急患センター等に常備しておくところが増えています。芍薬甘草湯、五苓散、大建中湯、麻黄湯、葛根湯、桂枝湯、柴苓湯、小柴胡湯加桔梗石膏、桔梗湯、麦門冬湯、越婢加朮湯、治打撲一方等々です。 5~ 10分で効果の出るものもあります。風邪なども、 10余の漢方薬を図(※図 1)のように、病態に合せて処方です。 15~ 20分で効果の出るものから、少し日数をかけての効果出現のものとあります。慢性疾患への適応は、種々の病態にお手伝いが可能です。西洋薬との併用もしながらです。
かぜに汎用される方剤
漢方薬の保険はずし?
昨年(2015年)の夏も厚労省、財務省の動きがありました。患者さんのご意見も集め、提出、何とか免れましたが、いつ再燃するかわかりません。その時は又、署名なりお願いします。広がっている漢方治療(なるべく漢方医学の診断で漢方薬を使う)に多くの先生も関心を持ち治療に活用しています。組合員の皆さんも漢方に親しんで下さい。
当院は予約制となっております。初めて受診される方は、事前に予約をお取りください。
固定電話専用予約センター
携帯・公衆電話予約センター
予約受付時間/午前8:00~11:30
病気に関するご相談につきましては、電話・メールでは、症状を正しく把握することができず適切な回答ができませんので、ご遠慮ください。
FAX 025-273-8360
〒950-0862 新潟県新潟市東区竹尾4-13-3
月曜~金曜/8:00~11:30
土曜/8:30~11:30
※診療科によって時間が異なります。
全日(一般)/午前11:00〜午後8:00
産婦人科/午前11:00〜午後1:00・午後4:00〜午後8:00